百貨店各社の業績回復の主たる要因は、人件費を中心としたリストラにある。80年代初頭の大型店冬の時代をはるかに上回る財務体質のスリム化は、百貨店業界にとって画期的なことではあるが、この間の人員削減が将来の組織、人事に与える影響、省力化の中での百貨店としてのサービスのあり方など、依然、見通しが立っていない問題を内包している。そして、何より真の復調は売り上げ拡大、業容拡大の方向性を見出してこそ宣言できるものだが、百貨店の多くはまだ、その回答を得ていない。新宿高島屋やそれを迎え撃った伊勢丹のリモデルに、今後の都心型店舗の方向性を垣間見ることはできる。多機能のアミューズメント性を持った都心店舗は交通アクセスの整備によって予想もしない広域商圏を作り出すこと、大商圏発想は百貨店の差別化を促進することなどは、高度にアクセスが整備された都心店は、将来、単純に郊外店に侵食されないことを示した。しかし、新宿に準じる規模の街はそれほど多くはない。